お礼をいただく
コンビニで立ち読みをしてたら、おじいさんがコピーをとりにきた。
コピー機のところはせまく、立ち読みしている私をうっとおしく思っていただろう彼は、コピーを終えると私をちょっと押しやって出ていった。
店外に出ていったおじいさんを上目で見やってふと雑誌棚を見ると、なんか鍵がじゃらじゃらついた小銭入れのようなものが。
もしやと思い、かぎはそのままに店外へ追いかける。まだそのへんにいた。
鍵を忘れてないか尋ねると、
「ああ、、そうだ、、」
と気付いた様子。
店内に人は少なかったため、この間に他人が持っていくようなことはなかった。
おじいさんはいくつかの書類と大きめの手提げ鞄をよっこらしょとコピー機の上に置き、鍵をしまった。
何度もありがとうと言ってもらったのだが、最後に立ち去るときに、再び立ち読みをしていた私の雑誌に、千円札をはさみ、再び
「ありがとう」
と残してゆっくり帰って行った。
これくらいのことはわりとよくやってるので、お金をもらってお礼されたのには驚いた。
あのおじいさんは事業家だったのだろうか。ひょっとすると名のある人なのかもしれない。
大切なものがなくなると悲しい。出てくるとうれしい。
それだけのことなのかもしれないが。