役不足


役不足」という言葉は、「自分には楽な仕事だ」というような意味だ。

やく‐ぶそく【役不足】 (大辞泉

[名・形動]

1 俳優などが割り当てられた役に不満を抱くこと。

2 力量に比べて、役目が不相応に軽いこと。また、そのさま。「そのポストでは―な(の)感がある」


だから、「いえいえ、私では役不足ですよぉ〜」みたいな表現は、
謙遜したつもりが、全く逆のことを言っていることになる。


でもさ、この言葉ってどういう時に使うんだ?
自分で正しい意味の「役不足」を使うときってめったにないし、
よっぽど不遜な人だよねえ。
まあ、他人に対して言うんだろうね。


謙遜の意味で使いたいなら、「力不足」「経験不足」または「役者不足」なんていうのもあるらしい。
「役者不足」は、広辞苑に出てなかったけど。


正しい意味を知っている人がかなり少ないと思われる言葉なので、
はっきりいって使わない方がいい。
正しく使っても、逆に受け取られる確率が高いし、
あえて間違って使うのも、変だし、どちらにせよ誤解を招く可能性がある。


どうも誤用に限らず、日本語にはこだわりがあるようだ。
どういう意味で相手が使っているのか、文脈から読み取る。
なるほど、そういう意味でその日本語を使っているのね。
であれば、こういう日本語を使って返そう。


日本語がことさら美しいだなんていうつもりはないけど、
言葉ってすごいなあと思う。


その時選ばれた言葉の一つ一つは、選ばれた理由が必ずあるわけで、
性格や、教養や、意志や、育ちや、文脈や、なんやかんやがそこには見え隠れする。


それに会話している人同士で、知っている言葉の数が違えば、
やはりどこかで齟齬が生じる。
その時に、そのズレにお互いがすぐに気づいて、
ふむふむ、そういうことね。となればいんだろうね。


誤用についてだけど、どっかのサイトに、
「分別のある大人は、角が立つから面と向かって指摘はしない」
とあった。
私はどうしてもその人の今後を思って「うるさいと思うけど」
とおせっかいを焼いてしまうのだが、喜ばれることはほとんどない。
もう分別を持つことにしようっと。